若い頃、海外武者修行から帰国した私は、たまたまご縁をいただいた大阪市内の「英会話スクール」でアルバイト勤務を始めました。

平成になったばかりの頃でした。

日本経済は、バブルの後半に差し掛かっており、「円高不況」という声も聞かれましたが、

英語教育業界は、逆に円高をメリットにした海外旅行ブームの後押しでまさに「英会話ブーム」の真っ只中で活況を呈していました。

そんな中、英語を学ばれる向上心ある生徒さんたちと接する毎日を楽しんでいました。

そのスクールには、自分が見たこともなかった外国製の華やかな教科書や精巧に設計されたカリキュラム、そして「英語教授法」を学んできた立派な英語講師たちが揃っていました。

効率的に英語を学ぶ最高の環境が揃っている印象でした。

しかしながら日が経つにつれ、違和感を感じ始め「本当にこれでいいのか?」

全てが揃っているように見えるスクール環境ではあるが、「何かが足りない」

そう考え続ける日々が続きました。

そして結局、足りないのは「リアルな環境」であると行き着きました。

「教室環境」には、外国人の講師が存在する。

でも、その講師以外、生徒は全員日本人です。

そこで、日本人同士でロールプレイなどをやらされています。

私には、それはおゆうぎの練習、さらには茶番劇をやらされているように見えました。

本当にそれは効果があるのか?と講師に質問しました。

講師曰く、それはある学習理論に裏付けされた「◯◯理論の◯◯メソッド」であるとの説明をします。

「権威」を持ち出されると納得せざる得ない気持ちにはなるが、やっぱり自分が生徒だったらやだな。。といつも思っていました。

では、どうすれば「リアルな環境」を作ることができるか?を日々考えました。

そこで行き着いたのは、『日本語学校を英語学校と同じ空間内に併設する』という単純なアイデアでした。

当時は、華やかな英語(英会話)に対して日本語は地味な存在でした。

『えっ?なんで日本語?』『真逆じゃん?』

興味を示す人はほとんど皆無でした。

私は、そのビジネスモデルは4大世界都市の一つである「東京」でなら実行可能であると考えました。

接する外国人の中には、日本語のもつクールさ、ディープさを語る人が多くいました。

そのようなと人たちと会話する中、日本語をルールや文法中心ではなく、もっと面白く教えるスクールを作ろう。

そうすれば、感性豊かで深い思考をもつ人たちが来てくれるはずと確信しました。

自分も沢山そういう人たちと出会いたい!

日本語スクールの方向性も定まり、その後東京で、先ずは英会話スクールを起業しました。

そして、その3年後に満を持して日本語スクールを起ち上げました。

その後は、予想通りに進みました。

東京には、大使館が集まっていることでその職員の方々が通い出してくださいました。

その他、テック系、特に金融系のビジネスピープルも多く通っていただきました。

その所為で、"プチ・リーマンショック"も味わうことになりましたが、その後も堅調に進み、当時駐日米国大使だったキャロライン・ケネディ大使からもご用命いただくまでになりました。

気がつくと、スクールのロビーには、英語を学ぶ日本人と日本語を学ぶ外国人の生徒さん達が机を並べて一緒に宿題をしたり談笑している姿が日常となっていました。

そこで、当時流行していた「ホビングリッシュ」を媒介クラスとして両生徒を融合することにしました。

それが、今の進化版ホビングリッシュである「カルチャーセッション」となっています。

異文化交流をしながら新しい知識を得る。

体験の中で心を動かしながら得る知識は、心に記憶されていきます。

その知識は、一生モノとなります。

アイリッシュパブでも同じことができそうですが、酔っ払って記憶に残りません。

英語は話すが、カラオケ的な発散で終わってしまいがちで、何より「インプット」が少ないでしょう。

必要なのは、「知的好奇心を刺激するコンテンツ」です。

先日は、ミシェランガイドにも選ばれた餃子の名店を経営される料理研究家の専門家をお招きして「冷蔵庫に頼らない食品保存の知恵」を学ぶ機会をいただきました。

超人気餃子レストランの創業者と一緒に餃子を作る経験は、一生モノの経験になります。

しかも、いろいろな国の方々の理解も手助けしながら共に学ぶ知識。

そこで使った新しいコトバは、一生モノのコトバになることでしょう。

教育界ではメソッド、教授法、教材を重要視される方がたくさん存在します。

間違っているとは思いません。

しかしながら、過剰に「効率性」を求めて生徒を型にはめることは、生徒の自立心や主体性を奪ってしまいます。

「効率」以上に「効果」が大切です。

その為には、「スピードラーニング」よりむしろ「スローラーニング」くらいが良いと思います。

これからの Weは、この「リアルな環境」をオンライン中心で作って行きます。

オンラインであれば、世界に存在するさまざまな人やコンテンツにボーダレスにアクセスすることができます。

これからも Weは知識のキュレーターとして、皆様の知的好奇心を刺激する「世界の珍味コンテンツ」を探し続けて参ります。

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